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2021年7月に静岡県熱海市で大規模な土石流が発生してから、まもなく4年が経ちます。この災害を受けて、危険な盛土(土地を高くするために土を積み上げること)による災害を防ぐため、新しい法律「盛土規制法」(宅地造成及び特定盛土等規制法)が2023年5月に施行されました。この法律は、宅地造成や盛土を行う際に、土砂崩れや地盤沈下などのリスクを減らすことを目的としています。そして、現在、この法律の運用が全国の自治体で本格的に広がりつつあります。

■ 熱海市での土石流災害と宅地造成法の重要性

2021年7月、静岡県熱海市で発生した大規模な土石流災害は、宅地造成の不適切な管理が引き起こした自然災害として大きな注目を浴びました。この災害では、山間部の開発が進んだ結果、過去に土石流が発生しやすい地域において、豪雨による土砂崩れが発生し、多くの住宅や施設が巻き込まれました。これにより、宅地造成における規制や安全基準の強化が急務であることが改めて浮き彫りになったのです。

土石流災害の原因として、過去に造成された土地が適切に管理されていなかったことや、盛土の不安定さ、造成地周辺の自然環境の変化などが指摘されています。このような事例を受けて、宅地造成法の適切な運用とその規制の重要性が再認識されています。

■ 宅地造成法の主な規制内容

宅地造成法は、主に以下の内容で規制を行っています。

1. 造成に関する技術基準
宅地造成を行う際には、土壌調査や地盤の安定性を確認し、適切な設計と施工が求められます。造成前に必要な調査を行い、地形や地盤の状態に応じた方法で進めることが重要です。

2. 特定盛土の規制
特定盛土とは、土地の高度を高くするために土を盛る行為を指しますが、この過程では特に土壌の強度や安定性を確保するため、厳格な基準が設けられています。特に、土石流の発生を防ぐために、盛土の設計が重要な役割を果たします。

3. 造成許可制度と審査
宅地造成を行うためには地方自治体からの許可が必要で、造成計画の詳細な提出が求められます。計画が規制に適合しているかどうか、また周囲の環境に与える影響についても審査が行われます。

4. 盛土後の管理と監視
造成後は定期的な監査や維持管理が義務付けられています。盛土が安定しているか、土壌が崩れないかなどを監視し、問題があれば速やかに対応する体制が整えられています。

■ 宅地造成法が不動産開発に与える影響

宅地造成法は、適切な安全基準を設けることにより、不動産開発のリスクを軽減します。特に、熱海市の土石流災害のような事態を防ぐためにも、造成計画における詳細な調査と計画が不可欠です。事業者は、造成前に地質調査を行い、過去に災害のリスクがあった地域では特に慎重な施工を行う必要があります。

また、宅地造成法に違反した場合、罰則が科せられることがあるため、法律に則った安全な開発を行うことは事業者の責任でもあります。このような法的規制は、住民の安全を守るためにも重要であり、開発計画の中でしっかりと組み込むべきです。

■ 熱海市の事例から学ぶべきこと

熱海市での土石流災害を受けて、宅地造成におけるリスク管理がさらに重要視されています。事業者は、ただ土地を造成するだけでなく、その土地が自然災害のリスクを抱えていないか、適切な予防策を講じているかを十分に考慮しなければなりません。特に、豪雨や台風などが多く発生する地域では、土砂災害対策が必要不可欠です。

また、自治体の役割も重要で、事前に土石流や崩落のリスクが高い場所に対する規制を強化することが求められます。これにより、地域住民の安全を確保し、災害の発生を未然に防ぐことが可能になります。

■ まとめ

宅地造成及び特定盛土等規制法は、不動産開発における安全性を確保するために不可欠な法律であり、近年の土石流災害の教訓を踏まえ、より厳格な運用が求められています。事業者は、法令を遵守し、徹底した安全対策を講じることで、住民の安全を守ることができます。また、地域全体での災害対策が重要であり、宅地造成においてはその地域の特性や過去の災害履歴を十分に把握することが、今後の不動産開発において成功を収めるための鍵となるでしょう。

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